船橋市 税理士の情報
九三年五月の内閣改造で、国民の不信感が強まっていたR蔵相を更迭し、かわってK蔵相が誕生したのを機に、英国経済は本格的に回復に向かい始めた。
英国の場合、経済政策に関する大蔵大臣の権限が非常に大きく、その力量しだいで国民経済のゆくえが大きく変わってしまうことがありうる。
ともかく英国経済は現在、最悪の景気後退に悩みつづけるEC諸国のなかにあって、最良ともいうべきパフォーマンスを達成しているところである。
長いトンネルをようやく抜け出したとみていいだろう。
また、九四年五月にはド−パー海峡を結ぶトンネルがいよいよ開通する。
このトンネルはEC経済の大動脈の一つとして、長いあいだその開通を待ち望まれていたものである。
わずか三十キロそこそこのあいだに横たわる海が、これまで英仏両国にどれほど大きな経済的非効率と文化ギャップをもたらしていたかははかりしれない。
ようやく英国もほんとうの意味での欧州の仲間入りができるかもしれない。
しかしながら、かつて世界をまたにかけた大英帝国の勢いを取り戻すようなことはまずありえない。
英国は福祉国家をめざした時点で経済成長はある程度犠牲にせざるをえないことは悟っている。
日本も含めて先進国が低成長時代に入る可能性が高まってきている現在、英国経済のゆくえを見守ることにより、日本の将来にとっての大きなヒントが得られるかもしれない。
一九九三年三月、フランスの総選挙で政権政党の社会党が敗れるという歴史的な事態が起こった。
M大統領は社会党であるから、保守のP新首相との組み合わせは、S首相時代以来の保革共存(コアピタシオン)体制が成立したことになる。
社会党と保守勢力とのいちばんのちがいは固有化を推進するか、民営化を推進するかである。
八一年にM氏が大統領の座について以来、フランスは大企業の固有化を積極的に進めてきた。
しかし、八六年のシラク内閣の誕生で初の保革共存が成立してからは、ふたたび民営化路線に切り換えられた。
ところが、八八年以降は社会党のR氏が政権についたこともあって社会党が勢いを盛り返し、民営化は手詰まりの状態になっていた。
そこへ今回の第二次保革共存でP新内閣は思い切った民営化を進める構えにある。
基幹産業を固有化すべきか民営化すべきかは、純粋に経済の観点からしでも大問題である。
ただ、世界的な傾向としては、政権政党の如何にかかわらず、民営化の方向へ向いているようだ。
とりわけ、日本においてJR、JT、NTTといった旧固有企業の民営化が大いに成功している事実が、世界の民営化を考える固有企業にとって大きな励みの一つになっている。
フランスの場合、この問題はとりわけ重要である。
というのもフランスは、国有企業と民営企業が微妙なバランスを取りながら一国の経済を発展させてきたという長い歴史があるからだ。
しかも、フランスの固有企業は宇宙開発事業、重化学工業、電気、自動車、金融、広告と実に幅広い産業分野にわたり、あのルノー公団、エア・フランスをはじめ世界に名だたるフランス企業の多くは固有企業である。
ただ、今回の社会党の敗北は、M大統領及ぴ社会党の圏内政治・経済への影響力を著しく弱めることになった。
このため、地方の隅々まで浸透していた地方分権や自主管理といった路線は大幅に後退し、すべての経済活動は冷徹な市場メカニズムに曝されることになった。
その結果、農民や中小企業といった経済的に弱い立場にある勤労者の反発が高まった。
そこでおりからのガットのウルグアイ・ラウンドの対米農産物交渉が難航し、農民たちの不満は爆発している。
加えて、圏内経済は他のEC諸国と同様、高い失業率に悩まされ、M大統領は、内外ともに苦しい立場に立たされている。
また、移民の排斥を掲げる極右勢力「国民戦線(FN)」の政治的台頭も大統領にとっては大きな懸念材料である。
フランスをめぐる最近の動きとしては、やはりECがらみの政治・経済問題が重要である。
世界でも屈指の政治巧者であり、EC第二の経済力を誇るフランスが、ECの盟主になる可能性は強い。
これには、もちろんドイツや英国が素直に応じるとは思えないが、それでも、このしたたかな国は独自のポジショニングを取りながら国家の生存をかけて最善の方法を模索するであろう。
ロシアをはじめとする旧ソ連地域の経済は、西側先進国の同時不況など問題にならないくらいひどい状況にある。
この数年に国営企業の民営化を皮切りに価格統制を解いて市場価格を導入するなど、次々に市場経済化を進めてきたが、その結果物価は何十倍にもはね上がり、ルーブルの価値は下落の一途をたどっている。
さらに深刻なのは、ロシアのかかえる多額の借金、つまり財政赤字と対外累積債務である。
しかも借金の額は、ルーブル価億が低下した分だけ膨れ上がる。
経済の悪化←借金財政←通貨価値の下落←借金の膨張←経済のさらなる悪化という悪循環である。
市場経済システムは、それを導入して間もない新人に対しても容赦のない試練を与えている。
ただでさえ政局が不安定なところでこのように巨額の借金をかかえた状態では政府にまともな経済政策を期待できない。
いまのロシアは、度重なる敗戦で膨大な額の借金を背負った、かつてのドイツに似ている。
このときのドイツには独力で経済復興を行って借金を返済する力は残されていなかった。
そこで米国を中心とする旧連合国側が、借金の繰り延べや直接投資などの経済支援を行った。
ロシア経済の惨状も自力回復が期待できるレベルをはるかに越えている。
一九九三年の東京サミットで採択されたG7による対ロシア大型追加支援は、四百三十億ドルもの規模に上る。
西側諸国がこうした積極的な経済支援を行う理由の一つは、膨大な国土と人口を擁するロシア経済の明暗が世界経済全体に無視できない影響力を及ぼすからである。
さらに、ロシアの経済が安定しないと表面化する可能性のある、二つの深刻な懸念材料がある。
第一は、政情不安を招いて共産主義体制への回帰が起こる危険性である。
これはどの西側諸国にも好ましいことではない。
第二は、ロシアと旧ソ連地域に配備されている核兵器の安全性が保障されなくなる危険性である。
万全を期すべき核兵器の処理がいいかげんになってしまう恐れがある。
対ロシア援助資金の多くは返済義務をともない、インフレの抑制や財政赤字の削減といった条件付きである場合も少なくない。
こうした援助方法に対してロシア側から不満の声もあがっている。
いまのロシア経済には、返済義務や条件付融資は軽くはない負担である。
しかし、援助資金を拠出する方からすれば、資金が有効に使われていないのではないかという疑念がある。
株式会社といっても、旧共産党幹部が役員になっているようなケ−スが目立ち、古い体質が抜けきれていない面もある。
せっかく援助した資金が一部の富裕層に着服されたり、援助物資がヤミ市場に流れたりすることさえある。
資本主義経済は何をしても許される体制だと考えているようなふしもある。
また国民にも、国家に全面依存して安楽に暮らしたP時代の昔を懐かしむ面がある。
こうした点で、資金援助に加えて国民経済全体が一丸となっての自助努力がみられたドイツの場合とは大きく異なっている。
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